RIMG0412.JPG関東建物探訪
写真:旧井上邸

昨日のジャパン建材ツアーに引き続き週末を利用して親友である稲垣剛氏のプロデュースで建物探訪をしてきました。
稲垣氏自身も建築をこよなく愛する仲間のひとり。
お互い空間が人に及ぼす影響に大変興味をもっています。
さて今回の探訪テーマは“小さな住宅”と“空間シーケンス”
果たして彼がチョイスしてくれた建物探訪コースとは?!

前川國男邸

この日は雨で園内には殆ど人がいませんでした。
建物内部にはボランティアの方が居てマンツーマン状態。
建物の概要や建築史についていろいろ教えてくださいました。
ここで偶然にも昨日ジャパン建材に参加していて今日東京建物見学をしに来た広島の建築工社の専務さんと出会いました。建築工社へジャンプ
お互い跡継ぎという境遇が似ていることや木造建築をメインで扱っている会社ということで意気投合。
前川邸を見学した後近くのうどん屋で食事をしました。

さてそれでは建物の紹介です。

RIMG0285.JPG一番印象的な切り妻の屋根が東西に放れ伏せる建物正面。美しい...
RIMG0263.JPGRIMG0267.JPG北側にある玄関から廊下を介しまずは書斎へ
RIMG0258.JPG前川國男愛用の椅子。これに座り数々の名建築を世に送り込んできました。
RIMG0212.JPG書斎机の上におかれたsony製のテレビ。この当時は貴重な家電だったのでしょう。
RIMG0211.JPG南側の開口部は全面引き込むことが出来、庭が借景となる計画。
この建物の特徴である柱の“軸外し”が要所に見られます。

詳細はこちら→RIMG0208.JPG


いよいよお待ちかねのサロンへ。

RIMG0239.JPG天井高さ4mいっぱいに施されたガラス窓。上部の窓ガラスは東京女子大学のチャペルからヒントを得たものだそうです。
RIMG0276.JPGRIMG0250.JPG2階ロフトの写真。2階床の根太は同じ長さで外にも跳ね出していて天秤のような施行がなされていました。
RIMG0256.JPG階段のアップ。木目がくっきり、歴史の深さを感じます。RIMG0242.JPG



RIMG0218.JPGサロンと家事室の間にある小窓。ココでおもしろエピソード。上部左側の溝は大工さんが間違えて付いた溝だそうですが前川國男はそのまま工事を続行したそうです。“見えないからマアエッカ(わ)”とは言わなかったでしょうねえ。

RIMG0222.JPG家事室においてあったsanyo製冷蔵庫。時代を超えて素敵なフォルムしてますね。

RIMG0223.JPG各部屋に施されたスチームの熱源は家事室の片隅に置いてありました。石炭式ボイラーだそうです。
RIMG0227.JPG寝室南側の開口部。

RIMG0233.JPGRIMG0231.JPGRIMG0230.JPG金物の詳細。
カタチも質感もかっこいいですね。いまは無いのでしょうか?

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事務所としても使われていた前川邸。弟子たちが南の通し丸柱の画鋲止めした後が残っていました。ガイドブックにはない面白いエピソードでした。

ホテルオークラ東京

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エントランスから奥のロビーへ
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ロビーの様子。1階と2階のバランスが絶妙で思わず座り心地のいいソファーで長居したくなる空間。
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雪の結晶ににせた障子の格子
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気になる2階へ
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梁下で2100mmの天井高さ。ゾクッとしますこのホールド感。
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2階より1階ロビーを臨む。1階ロビーから2階を見上げたイメージは住宅に例えるなら椅子で座っているというよりは、座椅子で和室の天井を眺めているような印象で。また服装で例えるなら袴を腰ではいている武士のようなかんじでしょうか。我々の奥に潜むジャパニズムを思い起こさせる空間力がここには宿っている気がします。

東京カテドラル

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宗教建築。
言葉で表現するのがおこがましい....
もし機会がありましたら、一度この空間に包まれてみてください。
教会入り口に入ってからの7歩の劇的空間シーケンス。(稲垣氏談)
一歩一歩、歩む毎に変わっていく空間の表情。
襲いかかる光のシャワー。
丹下健三先生。ありがとう。

高崎音楽センター

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正面からエントランスを臨む。平面計画はカブトガニから腕が二本出ているようなカタチ。
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館内では地元の中学、高校生が発表会をしていました。
響く音楽。
一枚の壁で断ち切られる光と陰の全く別の世界。
何とも言えない緊張感の中建物内を見学。
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壁にはアントニン・レーモンドの文字が...
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エントランス全面に施された開放出来る窓ガラス。すべてペアガラスでした。
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内外の形状シーケンス。
外からある程度は想像出来ましたが、やはり内部に身を置いてみないと分かりません。
機会があれば感じてください。
光と陰が織りなすハーモニー。

旧井上房一郎邸

この建物は高崎市の文化振興に貢献した井上房一郎さん。
1952年自宅が焼失。
新たに自邸を計画する上で戦前戦後に交流のあったアントニンレーモンドの自宅兼住宅に感銘を受けます。
レーモンドに承諾を得て図面の提供を受け、翌年高崎の地に建築されました。
ちなみにレーモントの自邸は彼の没後に取り壊されてしまったので、
旧井上房一郎邸はレーモントの自宅の様子を知ることが出来る貴重な建築ともいえます。
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北側のエントランス。一部ひょっこり顔を出してるのは居間のハイサイドライト。
RIMG0373.JPG玄関入って窓越しにテラス。
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北側14間(17m)の廊下には天井に碍子(がいし)が。
時代の奥行きも感じます。
ソファがありましたが、寝室だそうです。
南側の建具は前川國男邸と同様、柱同士を結ぶラインから敷居をずらして施行する『芯外し』の手法を採用しています。南に広がる広大な庭を取り込む工夫がなされています。
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寝室。テラスを臨むことも出来ます。
RIMG0378.JPGRIMG0374.JPG和室。ふすま引き手は下地の建具を少し凹ませ手掛けを作っています。なんともお上品。日本の心が宿った外国人(チェコ)レーモンド。
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レーモンドスタイルでもう一つ特徴的なのが『鋏状トラス』
戦後間もない時期に計画されたこの建物。
コンクリートや製材不足は当然のこと。
レーモントは現場で用いた杉の足場丸太を利用し、柱や登り梁を二つ割りの丸太で鋏み込む構造が生み出されました。
その他構造材に負担をなくすために施された鉄板屋根。
ベニヤ材に真鍮釘を直打ちした内装の仕上げ。
深い軒。
土間コンクリートを仕上げとしてしまう大胆さ。
等々、時代の物不足をあざ笑うかのような発想の転換。
古いけど新しい。
ローコストのヒントがいっぱいありました。
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時代の重さを感じます。コンセントとスイッチ。
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深い軒の出。
17mも軒がつながっていて、とてもリズミカルでした。
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テラスを南から撮影。
季節のいい時期はここでお茶でも飲んでお話でもいいですね。
西洋が自然に対抗した建築様式であることに対して、レーモンドが四季のある日本から修得した建築のあり方なのでしょう。
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南側全景。
薪ストーブの煙突と外部の板の色合い...SL機関車みたいですね。
「小さな家」には大いなる工夫や知恵が詰まっていました。